市川拓司(いちかわたくじ)「Separation」

690 名前:無名草子さん[sage] 投稿日:2013/11/12(火) 01:20:14.39
[いつ読んだ]10年ほど前
[あらすじ]

ネタバレ注意


バスの事故を免れた主人公が、冬の日に不可解な死に方をした弟を回想する。


[覚えているエピソード]
・主人公は仲間同士の遊びについて回る弟を鬱陶しく思い、教会に閉じ込める

ネタバレ注意


・弟は教会から忽然と消えてしまい、後日とても子どもが歩いては行けない離れた場所で凍死しているのが見つかる
・弟は微笑んでいた
・主人公がバスを待っていると、死んだはずの弟の姿を見かける。必死で追いかけるが見失ってしまう
・バスを乗り過ごすが、乗る予定だったバスは転落して乗客全員死亡
・弟が教会で神様と取引(?)をするシーン。自分の命と引き換えにバスの事故から家族を守ってほしい


[物語の舞台となっている国・時代]日本
[本の姿]文庫本
[その他覚えていること何でも]
短編集。浅田次郎の「鉄道員」と同時期に読んだため記憶がごっちゃになっているかもしれません。繊細で切なめの綺麗な文章だったと思います。
よろしくお願いします。

この本のタイトル(題名)教えて! その11
http://toro.5ch.net/test/read.cgi/books/1352499662/690


当記事のコメント欄でプチトマト様に情報をご提供頂いたことにより、解決いたしました。

参考:
https://ayafuya.work/no-3912
https://x.com/norio04/status/1221391025156939777

Separation: きみが還る場所 (アルファポリス文庫) 文庫 – 2006/10/1
市川 拓司 (著)
http://amazon.jp/dp/4434084410
表紙画像有り

Separation 単行本 – 2002/1/1
市川 たくじ (著)
http://amazon.jp/dp/4434023969
表紙画像有り

市川たくじ [著]. Separation, アルファポリス, 2002.1. 4-434-02396-9.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003680969

管理人のコメント:
「Separation」を2002年版で確認しました。

主な登場人物は、井上悟と五十嵐裕子。悟と裕子は散歩で道に迷い、雨宿りのために入った教会の牧師がジョン・バードマンという人物で、質問の内容は・バードマンと弟のエピソードのようです。

バードマンには3つ違いの弟がいた。バードマンは神の存在を信じていなかったが、弟は敬虔なキリスト教徒だった。しかもファンダメンタリストであった。バードマンはことあるごとに弟の信仰を揶揄していた。
バードマンは悪友二人と共謀して、弟を罠にはめる計画を立てた。(p147)
金曜日、四人で教会に入り、「お前の信仰心を試す絶好の機会を与えてやろう」と言って、弟を閉じ込めた。(p149-150)

ネタバレ注意


ほんの一時間も閉じ込め、飢えと寒さ、闇の恐怖で弟の顔が歪むところを眺められれば満足だった。1時間後に戻ると、弟の姿はなかった。(p151)
土曜日、教会から離れた場所で衰弱して肺炎を起こしかけている弟がみつかった。(p152)
バードマンが何があったか聞くと、「言えないんだよ、お兄ちゃん。言わないって神様と約束したんだ。奇蹟を求めたのはお兄ちゃんのほうだったんだよ」と言った。弟は三日後に死んだ。(p153)
弟の死から7週間過ぎ、バードマン一家はバスの停留所にいた。バードマンが弟の姿を見かけて追いかけたので、予定のバスに乗り遅れた。乗る予定だったバスは、橋から川に転落した。25名のうち生存者は2名だった。
それが約束であり、奇蹟だった。(p157)

姉妹編である「VOICE」には、主人公の悟の弟・祐司のエピソードが出てきます。

ネタバレ注意

祐司は不器用で母からきつく叱られ、家庭で完全に孤立していた。
祐司は、ずっと貯めていたお小遣いで母の誕生日に母の好きなスイートピーの花束を買い、兄の悟に渡す。(p221)
「ママはぼくのことが嫌いなんだ!だからぼくがこの花をあげても、ママはうれしくないんだ。でも、ぼくはママによろこんでもらいたいんだよ!だから……」
悟は祐司の言う通りにし、母は喜んだ。(p222)

祐司は、犬のアレックスを助けようとして、川で溺れて死ぬ。(p223)

献身的で子供の頃に亡くなるという点で、バードマンの弟と共通しています。

作者のあとがきによると、「VOICE」は「もしかしたら存在したかもしれないもう一つの二人の未来」。
収録順は「Separation」の次に「VOICE」になっていますが、書かれた順番は「VOICE」が「きみはぼくの」(「Separation」)より前のようです。
質問者の方がお読みになったのが文庫本版の「Separation」のみであれば、「VOICE」の話は全く関係ないかもしれません。

記事更新日:2024年5月31日
記事公開日:2024年5月21日

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プチトマト

市川拓司(いちかわたくじ)『Separation-きみが還る場所』?

https://ayafuya.work/no-3912
同じ方の質問かも。レビューを見ても、弟のことにはまったく触れておらず、少しモヤモヤ。可能でしたら、ご確認お願いいたします。

プチトマト

管理人さま
ありがとうございます。主人公ではなくて、牧師さまのエピソードだったのですね。スッキリしました。