久生十蘭(ひさおじゅうらん)『日本幻想文学集成 12 久生十蘭』

29 名前:無名草子さん[sage] 投稿日:2016/09/11(日) 23:17:38.02
[いつ読んだ]15年ほど前です
[あらすじ]関連のない独立した中編がいくつか収められていた記憶があります。
[覚えているエピソード]
1、アメリカ開拓時代に鉄道の開通のため駆り出された中国人労働者が過酷な環境に耐え兼ね暴動を起こすも雇い主らに殆ど殺される
生き残った主人公が彷徨い歩く後を殺された仲間の気配だけが後ろからついてくるような描写で終わり。
2、敵討ちのために放浪し旅を続けていく浪人?がある場所で濡れ衣の嫌疑をかけられ捕縛され、死罪を言い渡される
無念さや苦悶などはなく悟りきった感じで静かに処刑を待つ浪人の描写で終わる。
覚えているこの2話ともに終始淡々としたノンフィクションのような文体でした。
[物語の舞台となってる国・時代]
1、はアメリカ開拓時代 2、は戦国時代~江戸時代くらい
[本の姿・装丁・挿絵]
ハードカバーだったような気がします。
[その他覚えていること何でも]
15年くらい前2chの後味の悪い本?のようなスレッドで著者名かタイトルが挙げられていました
作者名タイトルともに今は全く記憶がありません。よろしくお願いいたします。

この本のタイトル(題名)教えて! その13
http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/books/1472081985/29


当記事のコメント欄で通りすがり様に情報をご提供頂いたことにより、解決いたしました。


日本幻想文学集成 12 久生十蘭 ハードカバー – 1992/3/1
久生 十蘭 (著), 橋本 治 (編集)
http://amazon.jp/dp/433603222X
表紙画像有り

日本幻想文学集成 12, 国書刊行会, 1992.3. 4-336-03222-X, 10.11501/13490182.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002181316

1 新残酷物語
小池滋 編. 鉄道諸国物語, 弥生書房, 1985.2, 10.11501/12445638.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728790
個人送信有り

2 奥の海
久生十蘭 奥の海-青空文庫 全文無料
https://www.aozora.gr.jp/cards/001224/files/46103_40187.html

記事更新日:2024年10月13日
記事公開日:2024年9月29日

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通りすがり

おそらくこの本だと思われます。
久生十蘭/著; 橋本治/編『日本幻想文学集成12 久生十蘭』国書刊行会 1992年刊

1のアメリカの鉄道建設の話は、久生十蘭の短編「新残酷物語」。
鉄道建設に当たって中国系労働者がひどい扱いを受け反乱を起こしたのは
史実らしいので、他にもこの件を扱った小説はあるかも知れませんが
結末で死んだ仲間の気配が付いてくるという点からこの作品で間違いないと思います
(同作者の短編「美国横断鉄路」も同じ事件を扱っていますが結末が違います)。

「新残酷物語」の収録された本は国会図書館で分かるもので5点あります。
一通り調べても、仇討ちのため放浪する浪人の話は見当たらないのですが
2に一番近そうなのが上記の本に入っている「奥の海」。
行方不明になった妻を探して諸国を旅していた下級武士が、知らないうちに
罪を着せられ、逃げることもできるのにあっさりと切腹を受け入れる話です。

「新残酷物語」は下記の本にも収録されていて、国会図書館デジタル個人送信で
読めます(29コマ目~)。
小池滋/編『鉄道諸国物語』弥生書房 1985年刊
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728790

「奥の海」は青空文庫にあります。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001224/files/46103_40187.html